こんにちわ、管理人(@UCinfo_blog)です。
このページは、『腸から始まる健康ライフ』(TBSラジオ|毎週月曜 17:50-18:00)という番組で炎症性腸疾患について取り上げられた回を文字起こししています。
下記の全4回の第2回です。
全4回
- 炎症性腸疾患とはどのような病気か?(第1回)
- 炎症性腸疾患、受診のタイミング(第2回)
- 炎症性腸疾患の外科治療(第3回)
- 炎症性腸疾患との付き合い方(第4回)
番組情報
- 番組:『腸から始まる健康ライフ』
- 放送タイトル:「炎症性腸疾患、受診のタイミング」
- 放送局:TBSラジオ
- 放送日:2018年6月11日(月)17:50 – 18:00
- 出演(※敬称略)
- 中澤有美子(パーソナリティー)
- 杉田昭(ゲスト/横浜市立市民病院・炎症性腸疾患科部長)
- 番組ページ:https://www.tbsradio.jp/260889
中澤:こんにちわ、中澤有美子です。
『腸から始まる健康ライフ』、この番組は耳から服用する整腸剤。体のなかでも大切な器官である腸から健康を考えます。
今月のゲストは横浜市立市民病院・炎症性腸疾患科部長の杉田昭先生です。
今日は炎症性腸疾患の受診のタイミングについて伺います。
via TBSラジオ
中澤:杉田先生、今週もよろしくお願いいたします。
杉田:よろしくお願いします。
中澤:さて、便秘や下痢などの症状だと「このくらいなら」と病院に行かない人も多いと思いますけれど、先週お話を伺いました炎症性腸疾患、いわゆる潰瘍性大腸炎やクローン病と診断される患者さんは早く(病院に)行くことも大事なんですね。
どんなタイミングで(医者に)かかったらいいでしょうか?
杉田:今お話がありました潰瘍性大腸炎とクローン病の患者さんは、病変の部位ですとか病変のかたちがだいぶ違いますので、それぞれ別に考えたほうがいいと思います。
潰瘍性大腸炎の方の場合は下痢と血便が主な症状ですので、通常下痢と血便があっても一時的に治ってしまえば病院に行かないことも多々あると思いますけども、それがずっと続くですとか、悪くなるですとかいうことがありますと、この病気とは限りませんけれども潰瘍性大腸炎の可能性なども考えられますのでやっぱり病院に行っていただくというのがいいと思います。
クローン病の患者さんの場合は、典型的な症状が腹痛と下痢と発熱ですね。
それに加えて肛門病変、痔ろうを合併することが多いです。
もしそういうことに加えてさらに体重が減るということがあるとしますと、これはクローン病を強く疑う症状ですので、若い方がお話したような症状が出ましたら病院を受診していただくのがいいと思います。
中澤:栄養が取れなくなっていって体重が減ってると考えられるわけなんですね。
杉田:ということもありますし、栄養が取れないというのはいろんな理由がありまして、お腹の痛みがあって十分栄養が取れないですとか、病変が進行した方の場合、特にクローン病の患者さんの場合は、腸が狭くなってものが通りにくいという状況になることもありますので、食事ができない、栄養が悪くなるということがありますから、もしそこまで進行しているような状況であるとしますと、早めの受診がよろしいかと思います。
まずどういう疾患かという診断をつけるところが大事だと思いますね。
必ずしもこの病気とは限りません。
それぞれ診断がつきましたら、それに対する適切な治療があるわけですので、治療が必要だと思ったらその治療を早めに受けていただく、そうすることによって病気の進行度が遅くなったり、大きな治療法をしなくて済むこともありますので、まずはいつもと違うと思ったら病院を受診していただくのが大事だと思いますね。
中澤:わかりました。
ちなみにこれは会社や自治体で行っているような健康診断で分かるというようなものではないですかね?
杉田:なかなか確定的な診断がつくのは難しいですね。
ただ、お話があった健康診断というのは血液を採ったり、便を採ったりしますよね。
血液を採って貧血がわかる、栄養状態が悪い、炎症があるということがわかることもありますし、便を採ったら潜血といって便に血がついていることもありますね。
通常は潜血反応でわかるよりは、ご自分で見て血がついているとわかることも多いわけですが、そういう受けていただいた健康診断がこの病気の診断に役立つということはありますので、そういう意味からいろいろな検査を受けていただくのは必要じゃないかと思います。
中澤:ちなみに、かかる診療科ですけれども、内科でいいですか?
杉田:やはり消化器内科の先生がよろしいかと思いますね。
実際にわたくしども炎症性腸疾患科として働かせていただいてますけども、わたくしどものようなところにみえる患者さんも多くの患者さんは事前に病院に行って疑いがある診断がつく、あるいは開業の先生からこの病気の疑いで紹介いただくということが多いです。
ですので、何れにしましても内科の先生のところに一度受診してご相談されるのがいいと思います。
もうひとつ、肛門病変でクローン病の方は病気が起こることがありますね。
その方の場合は肛門科に行かれますね。
肛門科の先生のなかには「これは通常の痔ろうとは違う」ということで、わたくしどものところに紹介いただくこともありますね。
ですので、とにかく合った症状で受診していただくということが大事じゃないかと思います。
中澤:それぞれどんな感じの検査になりますか?内視鏡とかですか?
杉田:そういう診断あるいは疑いが持たれた場合にはまずは血液の検査を受けていただきますね。
貧血がどうかとか、栄養がどうかとか、炎症がどうか調べますね。
この病気の疑いを持つことになりましたらば、造影の検査、消化管造影って言いますけど、レントゲンの検査ですね。
それから内視鏡の検査。
最近はいろんな新しい検査ができてまして、内視鏡でも小腸を見る内視鏡があったり、カプセル内視鏡といってカプセルを飲んでいただいて小腸の中を隈なく検索するという方法もありますね。その検査もひとつの大きな大事な方法ですね。
それに加えて最近はこういう病気の炎症をもっと早期に測ろうということで、バイオマーカーという名前で呼ばれますけど、そういう手段を使って全体を包括的に見ていこうということが実際に行われます。
中澤:進化しているんですね。
杉田:そうですね。
中澤:ありがとうございます。
それでは来週は炎症性腸疾患の治療法について詳しく伺ってまいります。
杉田先生、よろしくお願いいたします。
杉田:ありがとうございました。
- 炎症性腸疾患の代表的な疾患である「潰瘍性腸疾患」と「クローン病」であるが、それぞれ症状と治療法は異なる。
- 潰瘍性大腸炎は下痢や血便、腹痛が主な初期症状である。
- クローン病の場合は、下痢や血便に発熱を伴い、急激な体重減少、肛門に病変が起き、痔の症状が現れることがある。
- 早期の発見と早期の治療が重要であり、症状が見られた場合には消化器内科や専門の病院を受診したい。
第3回へつづく。
第3回へ
- 炎症性腸疾患とはどのような病気か?(第1回)
- 炎症性腸疾患、受診のタイミング(第2回)
- 炎症性腸疾患の外科治療(第3回)
- 炎症性腸疾患との付き合い方(第4回)
〈おわり〉