こんにちは。
今日はネットで「高額療養費制度」について面白い質問があったので、取り上げてみます。
これは、僕自身もUC発症当時、医療費の還付手続きを行ううえで疑問に思っていたことです。
【質問内容】
高額医療費の申請と難病申請の助成金の申請を両方だすのは
父が75歳のパーキンソン病で後期高齢者高額医療費の申請と県の難病申請助成金の両方出そうかと思いうのですが、両方出すことのデメリットとメリットはどんなものがあるのでしょうか?
質問者:googakusei 質問日時:2018/10/02 20:03
教えて!goo より
“後期高齢者高額医療費”と質問者がいっているのは、75歳以上に適用される後期高齢者医療制度だと思われますので、今回はより一般的な高額療養費制度として説明します。高額療養費制度と指定難病患者に対する医療費助成制度の併用に関する説明になります。
結論から先にいうと、指定難病患者に対する医療費助成制度は高額療養費制度を前提にしています。つまり併用されるのが前提です。ですので、メリット・デメリットという話ではありません。
「高額療養費制度」とは
先に高額療養費制度について説明します。知っている方はこの章は読み飛ばしてください。
厚生省の説明を引用します。
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。
この説明で問題なくわかりますね。難病の医療助成制度と同じく月額の医療費の上限額が定めれています。ポイントは、上限額の計算だけです。
上限額は、収入および年齢によって定められています。
具体例をみてみましょう。
- 69歳以下
- 適用区分ウの人
- 1ヵ月の医療費総額100万円
の場合、通常窓口負担3割で自己負担額は30万円です。
高額療養費として212,570円が支給され、実際の自己負担額は87,430円になります。支給と書いていますが、ご自身の健康保険組合へ還付申請して後日支払われます。
後から戻ってくるとはいえ、一時的にでも30万円という結構な大金を支払う必要があります。医療費が高額になるのが事前に分かっている場合は、「限度額適用認定証」を取得するのが便利です。限度額適用認定証を提示すれば、窓口での支払は87,430円(実際の自己負担額)で済みます。還付申請請求の手続きを行なう手間も省けます。
世帯合算や、多数回該当などさらに自己負担を軽減される制度があります(後日別記事にて詳しくまとめます)。
高額療養費制度と難病医療費助成制度の使いわけは?
では高額療養費制度と指定難病患者に対する医療費助成制度との関係はどうなっているでしょうか?
上記の例に続けてみてみます。この患者さんが、特定医療費の支給認定を受け、月額自己負担上限額が1万円だったとします。
すると、高額療養費は変わらず212,570円、自己負担額81,430円のうち、決められた上限額との差額71,430円が特定医療費として支給されます。
勘違いしそうなのが、公費として窓口負担30万円と自己負担上限額1万円の差29万円が支給されているわけではありません。
指定難病の医療費助成制度は、「保険優先」の制度なので、まずは規定の額まで医療保険が使われます。
参考 公費医療との併用大日本住友製薬手元に認定証がある場合は、窓口であれこれ考えなくても自己負担上限額以上を支払う必要はありません。
問題なのは、新規申請の方など手元に受給者証がない患者さんが、あとから還付請求する場合です。
高額療養費は、所属する健康保険組合へ、特定医療費は都道府県(または政令市)へそれぞれ請求します。
説明が重複しますが、自己負担限度額1万円の人が窓口で(一時的に)30万円を負担し、特定医療費を請求しても特定医療費として29万円が還付されるわけではありません。
両方の制度を利用すれば医療費が二重で助成されると勘違いされている場合があるかも知れませんが、それは誤りです。
【誤】
高額療養費:30万円 – 87,430 = 212,570円
特定医療費:30万円 – 10,000 = 290,000円
助成合計: 502,570円
【正】
高額療養費:30万円 – 87,430 = 212,570円
特定医療費:87,430 – 10,000 = 77,430円
助成合計: 290,000円
おわり。