【お知らせ】関連リンク集を更新しました(2019.11.04)

指定難病の基準超え?潰瘍性大腸炎の患者数について

こんにちは。

今日は潰瘍性大腸炎の患者数についてです。

潰瘍性大腸炎は指定難病のなかで最も患者数(厳密には特定医療費(指定難病)受給者証の所持者数)が多い疾病です。

患者数が、法律の規定を超えているため指定難病から外れるのではないかという話を聞いたことがある方もいると思います。そのあたりも含め詳しく見てみましょう。

潰瘍性大腸炎の患者数は指定難病の要件を超える?

指定難病の要件

まずは、復習です。

関連記事☞ 【難病に関する制度解説-第1回-】 指定難病とは?

こちらの記事で指定難病の要件を説明しました。指定難病の要件のうちの一つに患者数が一定の人数に達していないことが挙げられましたね。

難病のうち、当該難病の患者数が本邦において厚生労働省令で定める人数に達
せず、かつ、(以下省略)

難病の患者に対する医療等に関する法律 第5条

具体的には、難病法には上記のように記載されています。では、該当する厚生労働省令をみてみます。

難病の患者に対する医療等に関する法律第五条第一項の厚生労働省令で定める人数は、人口(官報で公示された最近の国勢調査又はこれに準ずる全国的な人口調査の結果による人口をいう。)のおおむね千分の一程度に相当する数とする。

難病の患者に対する医療等に関する法律施行規則  (厚生労働省令第121号 平成26年11月12日 )

直近の平成27年国政調査の結果によると、2015年10月1日時点の総人口は、1億2709万4745人とされています。よってその0.1%は約12.7万人となります。

潰瘍性大腸炎の患者数

では、現在の日本の潰瘍性大腸炎の患者数をみてみましょう。

この場合も特定医療費(指定難病)受給者証の所持者数をもとに考えます。

2016年度末時点の受給者証保持者は、「平成28年度衛生行政報告例」によると16万7872人です。先ほど基準である12.7万人を完全に超えています。どういうことでしょう。

これは、「人口のおおむね千分の一程度に相当する数」に対する解釈の問題のようです。

指定難病検討委員会の資料に下記の通り記載があります。

「一定の人数」として規定している「おおむね人口の千分の一(0.1%)程度に相当する数」について、以下のように整理する。
① 本検討会で議論を行う時点で入手可能な直近の情報に基づいて、計算する。
※本邦の人口は約1.27億人、その0.1%は約12.7万人(「人口推計」(平成26年1月確定値)(総務省統計局)から)
② 当面の間は、0.15%未満を目安とすることとし、具体的には患者数が18万人(0.142%)未満であった場合には「0.1%程度以下」に該当するものとする。
この基準の適用に当たっては、上記を参考にしつつ、個別具体的に判断を行うものとする。

第14回 指定難病検討委員会資料 参考資料2

いかがでしょうか。

とりあえず、この見解に照らし合わせると今のところは潰瘍性大腸炎は問題ないということになります。というより、潰瘍性大腸炎が要件を満足するように定めた見解ともいえます。

患者数の要件を満たさないために、指定難病にならない疾病

潰瘍性大腸炎の患者数は年間1万人ペースで増加しています(注 のちほどデータがあります)。このままだと、すぐに18万人を突破してしまいそうです。

例えば、「特発性正常圧水頭症」という疾病は、第24回指定難病検討委員会(2017年12月26日)の資料によると、

「患者数が本邦において一定の人数に達しない」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされた疾病

資料2-3本委員会として指定難病の要件を満たしていないと考えられた疾病 | 厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会(第24回) 資料

とされています。

一説では「特発性正常圧水頭症(iNPH)」の患者数は36万人*とされています。

*出典:「特発性正常圧水頭症(iNPH)」の疾患認知度について | ジョンソン・エンド・ジョンソン

つまり、少なくともこの水準まで患者数が増えれば、指定難病とは認められなくなると考えられます。

潰瘍性大腸炎患者数の推移

では、どのくらいのペースで潰瘍性大腸炎の患者が増加しているのかをみてみます。

下記のグラフをみてください。青線が患者数(左縦軸)で、橙棒が前年度からの増加数(右縦軸)です。

難病法施行前(~2014年末)

難病法施行以前(2014年末)では、患者数は一定して右肩上がりです。2011年度以降は年間1万人を超す増加数で、2004年から2014年の10年間で倍増しています。このペースが続けば、次の10年で30万人を超えてしまいそうです。

潰瘍性大腸炎患者数の推移

参考までに、2014年(平成26年)末時点の、潰瘍性大腸炎の特定疾患登録者証*の所持者数は10,779人です。

特定疾患登録者証とは

特定疾患登録者証は、特定疾患医療費助成制度による更新申請を行った際、軽快者として認定された者に交付されるもので、制度改正に伴って2015年1月1日から廃止となっています。

難病法施行後(2015年1月~)

難病法施行に伴う新制度への移行により、受給者証保持者数の増加ペースは急激に緩やかになっています。これは、軽症者が認定から外れたなどの背景がありますが、このあたりは別記事にて詳しく説明します。

 

●まとめ

  • 指定難病の要件のひとつである患者数は、「人口のおおむね千分の一程度に相当する数」とされる
  • 運用上は、0.15%未満を目安が目安となっている。具体的には患者数が18万人(0.142%)未満であった場合には「0.1%程度以下」に該当するものと解釈される。
  • 潰瘍性大腸炎の「特定医療費(指定難病)受給者証」保持者は、2016年度末時点で約16.8万人で、この(解釈された)基準を満たす。
  • 潰瘍性大腸炎の患者数の推移については、難病法施行前では年間増加数が1万人を超えていたが、難病法施行後は認定基準の変更などを背景に緩やかとなっている。

以上です。

難病法の施行前後で、大きな変化があったことが分かります。

法律施行に伴う制度変更がありましたが現在は柔軟な対応がされており、ひとまず潰瘍性大腸炎がすぐに指定難病から外れるということはなさそうですが、これからも制度変更や患者数の推移に注目していく必要があります。

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