こんにちわ、管理人(@UCinfo_blog)です。
このページは、『腸から始まる健康ライフ』(TBSラジオ|毎週月曜 17:50-18:00)という番組で炎症性腸疾患について取り上げられた回の内容を文字起こししています。
下記の全4回の第1回です。
全4回
- 炎症性腸疾患とはどのような病気か?(第1回)
- 炎症性腸疾患、受診のタイミング(第2回)
- 炎症性腸疾患の外科治療(第3回)
- 炎症性腸疾患との付き合い方(第4回)
番組情報
- 番組:『腸から始まる健康ライフ』
- 放送タイトル:「炎症性腸疾患とはどのような病気か?」
- 放送局:TBSラジオ
- 放送日:2018年6月4日(月)17:50 – 18:00
- 出演(※敬称略)
- 中澤有美子(パーソナリティー)
- 杉田昭(ゲスト/横浜市立市民病院・炎症性腸疾患科部長)
- 番組ページ:https://www.tbsradio.jp/258670
中澤:こんにちわ、中澤有美子です。
『腸から始まる健康ライフ』、この番組は耳から服用する整腸剤。体のなかでも大切な器官である腸から健康を考えます。
今月のゲストは横浜市立市民病院・炎症性腸疾患科部長の杉田昭先生です。
今日は炎症性腸疾患について伺います。
via TBSラジオ
中澤:それでは杉田先生どうぞよろしくお願い致します。
杉田:よろしくお願いします。
中澤:杉田先生のいらっしゃる診療科は、炎症性腸疾患科です。
とてもそのものずばりのお名前ですけども、やはりこれは昨今の腸に関する疾患が増えてきたということと関連がおありですか?
杉田:はい。炎症性腸疾患といいますのは主に潰瘍性大腸炎とクローン病というふたつの大きな疾患でなりたっています。
最近、欧米では患者さんの数が大夫増えなくなったんですけども、日本では以前から両疾患とも大夫増えてきまして、患者さんを拝見する機会が増えました。
私は本来は外科医なんですけど、内科的な治療もさせていただくということで、外科・内科の治療をするということで炎症性腸疾患科という名前で診療させていただいています。
中澤:はい。そのような診療科を掲げてくださると、やはり相談にも行きやすいかなという気がいたしますね。
杉田:ありがとうございます。
中澤:なかでも潰瘍性大腸炎の患者さんは増えていると聞きます。
どういう症状なのか改めて教えてください。
杉田:はい。名前の通り、「大腸炎」ですので、大腸に潰瘍ができる病気ですね。
ですので、血便が主な症状で、炎症ですので程度に差がありまして、軽い方から重症の方までおいてですね。
軽い方の場合は下痢の回数も少ない。血便の量も少ないということがありますけど、重症になりますと、それぞれの量・回数が増えると伴に、お腹が痛くなったり、高い熱が出たりするということがありますので、炎症の程度によってだいぶ大きな差があるという疾患ですね。
中澤:それは大腸の内側の粘膜が炎症を起こして荒れているような感じなんですか?
杉田:おっしゃる通りで、もっともっと炎症が強く病気が進行していきますと、粘膜を超えて筋肉の層に進行していましたり、もっと最重症の場合は腸の壁全体に炎症が及んで腸に穴が空いてしまうということもあります。
中澤:はい。難病指定されているというふうに聞きますが、この「難病」というのはどういうことになるのか教えてください。
杉田:厚生労働省による定義を見てみますと、原因が不明である、治療法が確立されていない、非常に少ない疾患である、長期にその疾患を患うということが定義になっています。
その難病のうちの、指定難病というものがありまして、さらに基準が厳しくて、患者さんの人数が非常に少ないですとか、明らかに診断基準ができていて、その病気と認定できるというものがあります。
指定難病といいますのは、医療費の助成があるというところで指定難病となっておりまして、潰瘍性大腸炎ともうひとつ一緒によく話がされるクローン病も同じように指定難病になっています。
中澤:なるほど。この病気ですが、世代的にはどのような患者さんが多いですか?
杉田:若い方に多く起こる病気ですね。
潰瘍性大腸炎の方ですと、発症年齢を見ますと20代、30代、10歳の順ですね。クローン病の方ですと、20代、10代、30代。
最近は以前と違いまして、特に潰瘍性大腸炎の方のなかには高齢で発症される、70代で発症される方も出てまいりましたので、かなり幅が広がりました。
でも、基本的には若い方に発症して治療を受けていただく必要がある病気だと思います。
中澤:そうなんですね。
先生、先程、海外ではこの潰瘍性大腸炎はもう増えていないというふうにおっしゃいました。
日本では増えている現状ですが、これはどういうことでしょうか?
杉田:はい。この原因については明確ではありません。
もともと潰瘍性大腸炎もクローン病も欧米の、西欧の病気で患者さんが多いです。
ところが最近は潰瘍性大腸炎は日本では20万人を超えていますし、クローン病も方も4万人を超えるような状況になっています。
ひとつの原因としては環境の変化ですね。生活の西欧化。
特に食事が指摘されていますが、そういう要素があるんじゃないかと思います。
中澤:なるほど。海外では以前からそういう状況なので患者さんの数は一定なんですね。
杉田:はい。
中澤:クローン病についてですが、潰瘍性大腸炎との違いを改めて教えてください。
杉田:潰瘍性大腸炎といいますのは、まず場所は大腸全体で、基本的には小腸をはじめ他の場所には病変はありません。
クローン病はクローン先生という先生が発見されたので名前がついていますけど、舌の先からおしりの肛門まで、どこに病変が起きてもいい病気です。
特に多い場所は小腸、大腸です。そういう意味で場所が違いますね。
もうひとつは、潰瘍性大腸炎が粘膜の内側に起こることが非常に多くて、クローン病の場合は粘膜からさらに筋肉、腸管全体に病変が及びますので、炎症が続きますと、狭窄といって狭くなってしまったり、瘻孔というトンネルができたりします。
ですので、病変ができる部位ですとか病変の起こり方(深さ)、同じ炎症性腸疾患と言われますが、違う病気と思っていただいていいと思います。
中澤:わかりました。
では来週は潰瘍性大腸炎の受信するタイミングについて伺ってまいります。
- 炎症性腸疾患の代表的な疾患である「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」。
- 潰瘍性大腸炎は直腸から連続的に炎症が起こる。そのため、大腸に炎症が発生する。
- クローン病は口から肛門まで、すべての消化管の部位に潰瘍や線維化が起こり、病変が散在して発生することが特徴。
第2回へ
- 炎症性腸疾患とはどのような病気か?(第1回)
- 炎症性腸疾患、受診のタイミング(第2回)
- 炎症性腸疾患の外科治療(第3回)
- 炎症性腸疾患との付き合い方(第4回)
〈おわり〉