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腸内細菌について|腸から始まる健康ライフ(快腸!夏SP)

腸内細菌について

こんにちわ、管理人(@UCinfo_blog)です。

このページは、『腸から始まる健康ライフ』(TBSラジオ|毎週月曜 17:50-18:00)という番組の特別回で腸内細菌および炎症性腸疾患について取り上げられた回の内容を文字起こししています。
第1弾は「腸内細菌」について。

番組情報

  • 番組:『腸から始まる健康ライフ』
  • 放送タイトル:「快腸!夏SP」(※特別番組)
  • 放送局:TBSラジオ
  • 放送日:2018年8月12日(日)20:00 – 21:00
  • 出演(※敬称略)
    • 中澤有美子(パーソナリティー)
    • 杉山真也(TBSアナウンサー)
    • 岡健太郎(ミヤリサン製薬・東京研究部副部長)
    • 松岡克善(スタジオゲスト/東邦大学医療センター佐倉病院・消化器内科教授)
  • 番組ページ:https://www.tbsradio.jp/283410

毎週月曜夕方に放送している「腸から始まる健康ライフ」の特別番組です。番組パーソナリティの中澤有美子さんが、整腸剤を製造しているミヤリサン製薬の研究所・工場を取材。その模様をお送りするとともに、炎症性腸疾患の専門医をスタジオに迎えて詳しくお話しを伺いました。

TBSラジオクラウド

放送内容

中澤有美子さんとTBS杉山真也アナウンサー
via TBSラジオ

中澤有美子:ここ数年、腸に住む腸内細菌が健康の鍵を握っていると言われています。
リスナーのみなさんも腸内環境、あるいは腸内フローラという言葉を耳にしたことがおありだと思います。
ちなみにフローラというのは花畑のことで、腸内細菌は1,000種類以上もあって100兆個以上の細菌がいるということから、充実したお花が咲き乱れているというイメージでこう言われています。

杉山真也:すごいですね。想像がつかない数の細菌が私たち、それからみさなんの腸の中にいるっていうことですものね。

中澤:そうですよね。病気などを予防する免疫という言葉もありますけども、この免疫機能を司っているのが実は、ずばり腸だったわけなんですね。
腸内細菌がきちんと働いていてくれれば免疫力も高まって、すなわち健康につながるということなんです。

杉山:あたらめて腸という場所が大切だということがわかりますね。

中澤:でも腸内細菌ってまだほとんどがどんな役割をしているか解明されていはいないそうなんです。

杉山:そうなんですか。じゃあ、日々研究がまさに今、進められているところなんですね。

中澤:そうですね。
今回私は腸内細菌の研究をしているミヤリサン製薬、東京研究所にお邪魔してお話を伺ってきました。こちらおき聴ください。

ミヤリサン製薬・東京研究所の取材

ミヤリサン製薬・東京研究所を取材
via TBSラジオ

中澤有美子:それでは、ミヤリサン製薬東京研究部副部長の岡健太郎さんお話を伺います。
さて、この東京研究所ではどんなことをしているんでしょうか?

岡健太郎:はい、基本的には微生物を素材としてた医薬品の研究開発を行っています。
薬の研究開発と言うと最初は薬を見つけてくる、探索してくるところから、じゃあその薬が実際効くのかという薬効を評価するステージ、それから今度はそれを臨床試験をやって人で実際効き目があるのかを確認したあと、ようやく実際に製品として国の承認審査を受ける必要があるんですけども、その過程を経て市場に出ていくわけです。
この部署では基本的に探索する基礎から、最後に承認申請をするような手続きのところまで幅広い役割を担っています。

中澤:ここで作られたり研究されたものがこれまで製品にはどのようになっていますか?

:そうですね、ここでは本当に新しい医薬品を探そうという研究と、それから私ども酪酸菌(宮入菌)という製品を製造販売しているんですけども、その既存製品の新しい作用を見つけようとかどうして効くのかという新しいメカニズムを解明しようというような大きく別けて二種類ですね。
今のところまだ新しい製品を世の中に出すというようなところまでは出来ていません。
ただ、既存の酪酸菌の新しいこういった疾患に効くかもしれないというような新しい作用だとか、この疾患に効くのはこういうメカニズムだというような新しいメカニズムを解明したりというような成果は出ています。


【スタジオ】

中澤:岡さんのお話にもありましたけれども、研究所の役割はふたつあって、一つは新しい薬を世の中に出すための基礎研究。
もう一つは既にある薬、どうしてこれが効いてるのかわからないけれどもとても効くというような場合に新しい作用を具体的に見つけていく研究のふたつがあるそうで、なるほどと思いましたね。

杉山:そうですね。薬って完成したらそれで終わりっていうわけではないということですね。
作った後っていうのも研究が継続的に進められてるわけですね。

中澤:そうですね。
さらに、今どんなところに力を入れているか伺いました。


【研究所】

中澤:今、ミヤリサン製薬さんでこのトピックが一番ホットだということがあれば教えてくださいますか?

:やはり新しい医薬品を見つけ出したいというところが一番重要なテーマだと思っていますので、それに繋がりそうなところっていうのを特に力を入れています。
特定の疾患を抑えるよな新しい菌が見つからないかとか。まぁ悪い菌でもいいんですけどね。悪い菌が見つかればその悪い菌を制御する方法を見つければいいですし。
そういう薬のきっかけ、シーズになるような研究に力を入れているのがひとつです。
どういう菌叢がどういう疾患に関係があるのか、どういう微生物がどういう疾患に関係があるのか。
それから特定の菌が作っている代謝物が何か、その代謝物をそのまま薬にできる可能性もあるので。
例えば、私どもの酪酸菌がある種のペプチドと呼ばれる物質を作っているんですけども、そのペプチドがある病原菌の菌の増殖は抑えないんだけれども毒素を作ることだけを抑えるというのが実は最近分かって特許も取っているんですけれども。そういったものを、それ自体を医薬品として使えないかいうようなことも考えています。


【スタジオ】

中澤:ちょっとお話難しいんですけども、ただ菌を減らしてしまうとフローラのなかのお花の種類が減ってしまうので、菌は減らさないんだけれど、毒素だけを作るのをやめてもらおうという研究をしてるんだそうですね。

杉山:じゃあ全部を抑えるというよりはどこかしらでもいいから一つ項目を抑えられないかという研究ということですかね。

中澤:そうです。不都合なことだけやめてもらおうというような感じでしょうかね。

杉山:なんか難しそうではありますけど。

中澤:すごいですよね。さらにその毒素を抑える物質について詳しく伺いました。


【研究所】

:今、抗生物質の効かない耐性菌というのが非常に問題になっています。
その耐性菌というのは抗生物質を使えば使うほど耐性菌が出てくるリスクがあがってくるんですね。
菌も死にたくないでの、その防御策として死なない菌が新しく出てくるんですけども。

中澤:必死ですよね、菌も。

:はい。私どもの酪酸菌が作っているペプチドというのは、菌の増殖は抑えないけれども毒素を作るのだけは抑える作用があるので、例えばそういうものですと、菌に取っては別に悪くはないんです。自分を殺そうとはしないので。そういったものがあると、耐性菌は出来ないけれども感染は制御できるという新しいコンセプトの薬が作れるかもしれないというようなところも今力を入れています。


【スタジオ】

杉山:ある意味、菌と人類の闘いですね。

中澤:本当にそうですね。

杉山:知恵比べして、菌は殺さないけれども、菌の毒素だけ抑えるっていう。はぁ~。

中澤:闘いのような、あるいは一緒に生きていこうという工夫合戦のような、そんな感じもしましたね。

杉山:ある意味、共生というところでもあるかもしれませんね。
こうした研究によって新しい薬というのが開発されていくんですね。
中澤さん、実際に研究しているところも取材をされたんですか?

中澤:はい。実験準備室という部屋を中心に3つの部屋を見せていただきました。


【研究所】

:一番大きい部屋、ここが細菌実験室という位置づけになります。菌を培養したりするような部屋です。
今、ちょうど培地に菌を塗ってるところですね。

中澤:いくつも作っていますね。

:そうですね。いろんな種類の培地に。
培地を変えたりとか、菌を変えることもありますし。
あとは菌って糞便ですと1グラムあたり10の10乗個、何百億個とか何千億個とか非常にいっぱいあるので、それをそのまま培地に塗っても何が何だか分からない。
数十個から数百個ぐらいの菌が生えてくるのちょうどいいので、10倍、10倍、10倍、10倍と希釈していってちょうどいいところを塗ったりするんですね。
ただそこが本当に100個出てくるのか、10個出てくるのかは培養してみないと分からないので、きっとこのへんだろうといって希釈倍率を変えて何種類か塗ったりすることもあります。すると培養が終わったあと、びっしり生えてきたもの、1000個生えてきたもの、100個生えてきたもの、10個生えてきたものと何種類か出てきて、ちょうどいい100個のところを使って次の実験をするとか。


【スタジオ】

中澤:いろんな条件をちょっとずつ変えて、全部試してみないといけないからすごく気が遠くなる作業なんだと思いましたね。

杉山:「培地」というのはどういうことなんですか?

中澤:菌を培養するための下地のようなもので、丸いシャーレに塗ってあるんですけど、そこに菌を置いてみて適切な温度に入れてどう増えるかというようなことになります。

杉山:菌もただ増えればいいというわけではなくて実験しやすい数に調整するとか、それを選ぶってことが重要なんですか?

中澤:そうなんですね。初めて知りました。
杉山さんにクイズです。この菌をシャーレ、培地に塗りつけている場面で、いわゆる「種付け」をしているところなんですけど、必ず白衣を着た研究員の方がガスバーナーをボンボン、ボンボン顔のそばで燃やしながらやってるんですね。
おでこから10センチぐらいのところで、すごい炎を。

杉山:近いですね!

中澤:そう!炎をバーって出しながら、シャーレに塗りつけてるんですよ。何のためでしょう?

杉山:何か気合を入れるためでは絶対ないですよね。
何か雰囲気を出すとかっていうわけでも絶対ないですね。

中澤:ちょっと違いますね(笑)雰囲気はありましたけどね。

杉山:菌の温度環境みたいなことですか?

中澤:おしい。けど違いました。
バーナーで火を炊くことによってそこに上昇気流ができますよね。
そして空気中の微生物やホコリが舞い上がって、培地のところに落ちてくるのを防ぐんだそうです。
そこだけ半径20~30cmが無菌状態になる、それをバーナーで作ることによって作業がしやすくなるんですって。

杉山:それは作業員のかた熱いですよね。

中澤:そう思いました。
続いては、細菌の遺伝子を増やす次の部屋を見学してきました。


【研究所】

:ここが主に遺伝子関係の仕事をする部屋です。
この辺が昔ながらのサーマルサイクラーといって、「サーマル」が熱、「サイクラー」が繰り返す、熱を上げたり下げたりをプログラムで勝手に何サイクルもやってくれるんですけど、DNAを増やす機械です。
DNAって目に見えないじゃないですか。実験をやろうと思うとやっぱり人の目に見えるくらいの量に増やさないと配列を調べることも出来ないので、遺伝子に酵素とか取っ掛かりの試薬を入れてこの機械にかけると増やしたい遺伝子が増えるっていうような。


【スタジオ】

杉山:すごい。DNAを増やす機械…

中澤:はい。ここのところもっとよく見てみたいなって部分を、このサーマルサイクラーって機械にかけて増やして、そして次の部屋でDNA解析をするんだそうです。

杉山:はぁ、すごい。じゃあ調べやすい環境に持っていくまでにいろいろ工夫と工程があるんですね。

中澤:ですね。では3つ目の部屋、増やした遺伝子、DNAを分析するところです。


【研究所】

:最後が機器分析室になります。
これが次世代シーケンサーですね。
この操作自体はすごく簡単で、最初のDNAを用意するほうが大変なんですけど、用意さえできればここにピュッと入れて、ここにガチャっとつけて。

中澤:直径1センチ、深さ4センチぐらいの試験管のようなものに…先は細くなってるんですね。

:ここで出てきた結果が、こちらのちょっと性能のいい、サーバー用のPCを使ってるんですけど、人の遺伝子とかをやろうと思ったらスーパーコンピュータがないとできないと思うんですけど、菌は遺伝子が比較的小さいので、ちょっといいパソコンで解析してます。
彼が今それをやってるんですけど、彼はパソコンで解析する専門家で実験するよりもずっとパソコンに向かっていつもやってるんですけど。

中澤:パソコンでDNAを解析する専門家?

:そうです。A・G・C・Tの文字がテキストでバーっと出てくるので、一回菌を解析すると500万AとかGとかって文字が並んだのが出てくるんです。
そんなのを目で見てもわからないじゃないですか。それを彼がパソコンで解析していくというようなやり方を。

中澤:じゃあシーケンサーに解析してもらったところで、読み取り能力がものすごい必要なんですね。

:そうですね。計算というのがすごく必要ですね。


【スタジオ】

中澤:次世代シーケンサーが出来たので、「遺伝子の解析が楽になりました、楽になりました」って聞いてたんで、そうなのかなって思ってたんです。
でも、解析がまたものすごくさらに大変で、プログラミング画面のような私たちが見ても全然わからないような画面にずっと向かって読み取りをしている方がいらしゃったわけです。で、この次世代シーケンサーの機械、これが出来たことは研究にとって大きな変化だったようです。


【研究所】

:実験機器の進歩っていうのは、科学技術の進歩に合わせてどんどん、どんどん進歩していってまして、ここ数年で言うと次世代シーケンサーという機械の登場が非常に大きくてですね。次世代シーケンサーが出たおかげで遺伝子を短時間に大量に調べることができるようになったおかげで、今まで分からなかったことがいっぱい分かるようになってきています。


【スタジオ】

杉山:最初に腸内細菌はたくさんいるけれども、どんな役割をしているのかわかっていないとう話がありましたけども、こうした研究の日々の積み重ねで解明されていくんですね。

中澤:本当にそうだと思いました。こういう細かな作業に従事してひとつひとつ積み重ねていく方たちがいて成り立っているんだなと思いました。


中澤:この後は、消化器医療の専門家、東邦大学医療センター佐倉病院・消化器内科教授の松岡克善先生をお迎えしてお話を伺います。

次回へつづく

炎症性腸疾患について~症状・治療法~炎症性腸疾患の症状・治療法について|腸から始まる健康ライフ(快腸!夏SP)

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