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炎症性腸疾患の症状・治療法について|腸から始まる健康ライフ(快腸!夏SP)

炎症性腸疾患について~症状・治療法~

こんにちわ、管理人(@UCinfo_blog)です。

このページは、『腸から始まる健康ライフ』(TBSラジオ|毎週月曜 17:50-18:00)という番組の特別回で腸内細菌および炎症性腸疾患について取り上げられた回の内容を文字起こししています。
第2弾は「炎症性腸疾患」の症状や治療法についてです。

第1弾(「腸内細菌」について)はこちら

番組情報

  • 番組:『腸から始まる健康ライフ』
  • 放送タイトル:「快腸!夏SP」(※特別番組)
  • 放送局:TBSラジオ
  • 放送日:2018年8月12日(日)20:00 – 21:00
  • 出演(※敬称略)
    • 中澤有美子(パーソナリティー)
    • 杉山真也(TBSアナウンサー)
    • 岡健太郎(ミヤリサン製薬・東京研究部副部長)
    • 松岡克善(スタジオゲスト/東邦大学医療センター佐倉病院・消化器内科教授)
  • 番組ページ:https://www.tbsradio.jp/283410

毎週月曜夕方に放送している「腸から始まる健康ライフ」の特別番組です。番組パーソナリティの中澤有美子さんが、整腸剤を製造しているミヤリサン製薬の研究所・工場を取材。その模様をお送りするとともに、炎症性腸疾患の専門医をスタジオに迎えて詳しくお話しを伺いました。

TBSラジオクラウド(https://radiocloud.jp/archive/miyari/?content_id=40681)

放送内容

東邦大学医療センター佐倉病院・消化器内科 松岡克善先生
via TBSラジオ

杉山真也:ここからは消化器医療の専門家のゲストをお迎えしてお話を伺いましょう。東邦大学医療センター佐倉病院・消化器内科教授の松岡克善先生です。

松岡克善先生:こんばんわ。東邦大学医療センター佐倉病院・消化器内科の松岡と申します。
今日はよろしくおねがいいたします。

中澤有美子:ありがとうございます。松岡先生のご専門は炎症性腸疾患と伺っています。
炎症性腸疾患は最近、本当に増えている病気と伺っています。
この番組でも何度も取り上げているわけなんですが、番組を初めて聴くかたもいらっしゃると思うので改めてこの炎症性腸疾患についてお教えて頂きたく思っています。

松岡:炎症性腸疾患というのは腸に慢性の炎症が原因不明に起こる病気の総称です。主には、潰瘍性大腸炎とクローン病のふたつの疾患を指します。
慢性と原因不明というのがポイントなんですけども、例えば「感染性腸炎」というのがあります。それは細菌が腸に入って急性の炎症を起こす。則ち、急に調子が悪くなてすぐに治っちゃう。
これは炎症性腸疾患とは言わない。原因が分からなくて腸に慢性の炎症が起こってしまう病気を炎症性腸疾患と呼びます。
炎症性腸疾患とひとまとめにされますけど、病気自体はだいぶ違ってきています。
潰瘍性大腸炎というのは「大腸炎」というぐらいなので、まず大腸にしか炎症が起こりません。
さらに、おしりの方から口の方に向かって炎症が起こっていきます。だからお尻に近いほうが炎症を起こすと。
クローン病っていうのは、口から肛門までどこにでも病変ができます。
ただ多いのはやはり小腸と大腸になります。
潰瘍性大腸炎というのは炎症が起こるんですけども、非常に真っ赤かになって、酷いと潰瘍とかびらんというものになります。潰瘍というのは口内炎みたいに粘膜が剥がれちゃうような状態をいいます。そういうのが大腸にできる。
クローン病というのは先程申し上げた通り、消化管のどこにでもできるんですけども主に小腸と大腸、そして病変が飛びます。できているところもあるしできていないところもあって、飛び飛びに病変ができる。そして、真っ赤かというよりもむしろ潰瘍が中心ですね。粘膜が剥がれちゃうというようなのがいろんなところにできると。
あとクローン病が特徴的なのはおしりに病変ができることがあります。痔ろうとかが非常に特徴的になります。

中澤:ではクローン病と気付かずに痔の症状なのかなと思ってる人もいるかも知れないですか?

松岡:そうですね。若い方で、特に普通の痔じゃなくて痔ろうといっておしりの脇にちっちゃい穴があいて膿が出てくることがあるんですけども、そういうのがはじめての症状でクローン病と診断されることもあります。

杉山:潰瘍性大腸炎はどういう症状が出るんでしょうか?

松岡:潰瘍性大腸炎はさっき申し上げた通り、おしりに近いほうに強い炎症がおこるので、やはり血便、下痢になります。ほぼこの二つの症状は必発ですね。
なので潰瘍性大腸炎は比較的患者さん自身が気づきやすいですね。血便が出て、下痢が出るので。なので、病院に来ることが多いです。何週間も血便が続くことがありますので。
ただ、クローン病は症状がなかなか出辛いこともあるので、お腹がちょっと痛いだけだとか、ちょっと下痢なだけだとか。ということで少し病院に来るのが遅れることがあり得ますね。

炎症性腸疾患の患者数

中澤:患者さんはそれぞれ本当に増えているんですか?

松岡:はい。すごく増えてます。
潰瘍性大腸炎の患者さんの登録は1976年に始まったんですけども、この時に全国で登録されたのが965人しかいなかったんですよね。
それが2年前の調査だと潰瘍性大腸炎は22万人と言われています。
クローン病は1977年に全国で128人、それが2年前だと7万人になってます。
なので、40年間でほとんどいなかった患者さんが30万人になってます。
30万人ってことは日本人のだいたい400人に一人がこの病気を持ってらっしゃると。

杉山:しかもここ最近急激に増えてきてるってことですものね。

松岡:そうですね。そうの原因はまだ分からないんですけど、一つおもしろい現象があって、オリンピックをやると増えるって言われてるんですね。

杉山:4年に一度?それとも2年に一度?

松岡:50年に一度です。

中澤:国内開会ってこと!?

杉山:そういうことですか。

松岡:1964年に東京でやって、そのあとさっき申し上げた通り、だいたい日本で増えていったのが1980年代くらいからですね。オリンピックやって10年くらい経つと増えてくる。
ソウルでやったのが1988年で、だいたい2000年ぐらいから韓国ですごく増えてきてる。
中国で2008年にやって、今すごく増えてきています。

中澤:えぇ!その相関関係すごいですね。

松岡:おそらく社会が西洋化するというか、近代化すると起こってくる病気なんじゃないかと言われています。
それは食事なのかもしれないし、いろんなライフスタイルなのかもしれないし。

中澤:そしてこれだけ増えていながら難病指定であるということが本当にその深刻さを感じさせるものなんですが。

松岡:「難病」っていうのは厚生労働省の定義だと原因のわからない病気っていうのは全部難病というふうに言われていますので、必ずしも治療が難しい病気という意味で難病というわけではないです。ですので適切に治療されれば普通に生活はできますので。

中澤:なるほど。
松岡先生がお勤めの東邦大学医療センター佐倉病院でも患者さんは増えていますか?

松岡:私たちの病院は千葉県の消化器系の難病拠点病院に指定されています。各都道府県にひとつづつある病院のひとつなんです。
私たちのところで今2000人を超える患者さんが通ってらっしゃって、患者さんの数だけでいうと全国でも一番、二番を争うぐらい多いです。
うちの病院の特徴と宣伝させていただくと、これだけ患者さんが多いので、きっちり専門の先生が診てます。
あとこの病気はいろんな検査があります。大変な検査もあるんですけれども、できるだけ負担の少ない検査を心がけてやってます。

腸内細菌について

中澤:これらの病気の患者さんの腸内環境はどういう状況なんでしょうか?

松岡:そうですね、やはり腸の病気なので、皆さんやはり腸内細菌叢っていうのは最近流行りでもあるので、「どうなっているのかな?」と疑問に思われると思います。
二つ特徴があって、潰瘍性大腸炎とかクローン病の患者さんの腸内細菌は、一つは種類がすごく減っていると言われています。
腸内細菌ってだいたい1000種類くらい人間の体に住んでますけど、種類がかなり少なくなっていると言われています。

杉山:1000種類のものが?

松岡:300とか400とか、それぐらいに減っていると言われています。
あとは、数自体も減っていると言われているんですね。細菌の数自体が半分とかに減っていると言われています。
「腸内フローラ」という言葉をお聞きになったことがあると思うんですけど、「フローラ」ってお花畑ですね。フラワーと同じ語源で。
なので、皆さん腸の中のお花畑をイメージするかもしれないんですけども、実はそれはダメなんですね。

中澤:え?

松岡:腸の中ってジャングルじゃなきゃダメなんです。
本当に多種多様な生き物が何もしなくても調和を保つっていうのが、健康な腸の中の状態で、お花畑になっちゃうとそれこそ種類も少ないし、数も少ない、人工的なものになっちゃうんですよね。
炎症性腸疾患の患者さんというのはお花畑になっちゃってるようなイメージ。綺麗なんですけど、体にとってはあまり良くない。

杉山:ではイメージとしては「腸内フローラ」ではなくて「腸内ジャングル」が理想であると?

松岡:本当はそうでなければいけないんですね。

杉山:そうなんですか!

中澤:イメージしやすいですね。

炎症性腸疾患を発症しやすい年齢

中澤:この病気はどの世代に多いとかそういうことはありますか?

松岡:はい。クローン病に関して言うと、20代前後の発症がほとんどです。80%は若い方、20代前後の方ですね。
潰瘍性大腸炎は30歳代に発症のピークがありますけれども、比較的幅広いです。10代で発症する方もいるし、50代~60代の方でも発症することがあります。
クローン病とか潰瘍性大腸炎は若い方に多いこともあるので、一つはライフイベントというのをすごく考えなければいけないですね。

中澤:そうですね。

松岡:就学とか就労、結婚、妊娠、出産、そういうのも考えて治療しなければいけないという意味では特殊な病気ではありますけれども。

中澤:病気があることによってちょっと一歩踏み出せなかったりするような方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれないですものね。

松岡:そうですね。

中澤:これが起きてしまう前に、前兆のようなものはありますか?

松岡:残念ながら、これを予防したりだとか、これをしたら発症のリスクが減るというものはまだ分かってないですね。

杉山:そうですか。

松岡:症状も数週間から数ヶ月単位でだんだん出てくることが多いです。ある日突然出るものではないですけどね。

炎症性腸疾患の治療

中澤:そして治療法は進んでいるということがとても気になっています。

松岡:治療法もものすごく進みました。ここ10年で新しいお薬だけでもう10種類以上出てきているんですね。
さらに治療目標というのもどんどん高くなっていて、昔はもう症状が良くなればいいんじゃないかという発想だったんですけれども、今はきっちり内視鏡で見ても普通の腸と同じぐらいの状態にならなければいけない、「粘膜治癒」って言うんですけど、見た目にもほとんど(普通の状態と)同じぐらい良くならなければいけないということで、治療目標もそこまで上がってきています。
なので、ここ10年いろんな診療環境というのは変わってきています。
ただですね、いろんな薬が出たんですけど、基本治療薬というのがあって、それをきっちり使うと70%以上の患者さんがそれだけで治療できます。なにも最新の治療を使わなくても治療できるので、やはりその基本治療薬をきっちり適切に使うというのがこの病気の治療では一番大事です。

中澤:服薬で基本的にはいけると?

松岡:そうですね、飲み薬で。まぁ、点滴のお薬もあります。
あとは「白血球除去療法」と言って、透析みたいな治療をします。
片方の腕の血管から細胞を取り出して、カラムの中を通して悪い細胞を取って、また戻すというようなこと1時間くらいやるような療法があります。
お尻から入れる治療というのもあります。「注腸療法」と言います。
これもなかなか最初は大変なんですけれども、できるようになったら非常に効果の高い治療法です。この病気特有の、皮膚に軟膏を塗るようなものですね。

中澤:お尻から薬を入れてあげる?

松岡:そういう特殊な治療もありますけど、基本は内科治療ですね。

中澤:治療の頻度はどれくらいなんですか?

松岡:落ち着いているとそんなにしょっちゅう病院に来る必要はなくて2、3ヶ月に1回でもいいと思います。

杉山:普段から何か薬を飲む以外で、少し症状を緩和させる方法というのはあったりするんですか?

松岡:皆さんやはり腸の病気なので食事のことを気にしたりだとか、ストレスのことをすごく気にされます。

杉山:そうですよね。イメージそういう…

松岡:確かにストレスきっかけで悪くなる方もいらっしゃいます。食事きっかけで悪くなる方もいらっしゃいますけど、一番大事なのはやっぱりきっちり薬を続けることなんですね。
ストレスとか食事ってやっぱり避けられないですよね。ストレスのない生活をなかなか送るのも難しいし。
でもそれよりも遥かに決められた薬を飲むっていうのがこの病気の再発を防ぎます。

杉山:例えば、(この病気に)なってしまうと辛いものがダメとか消化に悪いものがダメみたいな、そういう食事制限みたいなものも発生するんですか?

松岡:そういう食事制限される方は多いです。ただ実際、今までの研究で言うとこの食べ物が絶対この病気でダメっていうのはほとんどないんですね。
いろんな研究されてますけど、食べ物がこの病気にすごく影響を与えるというデータは実はすごく少ないですね。
なので、基本的に落ち着いちゃえば食事はほとんど制限しなくてもいいと思います。

杉山:そうですか。

松岡:もちろんクローン病の場合はちょっと食事の制限が必要な場合もありますけど、潰瘍性大腸炎なんかはほとんど食事の制限はいらないので、私がよく患者さんに言うのは「普通の人が食べても下痢するようなものはやめたほうがいいんじゃない?」と。激辛のものとか、ギトギトのラーメンとか。

中澤:そっか(笑)

松岡:それぐらいの制限にしています。

中澤:治療の期間というのはどのくらいになりますか?

松岡:残念ながらこの病気は完治がないので、今のところ原因が分からないので、基本的には慢性疾患としてずっと治療を続けることになります。
この病気、治療のフェーズというのが二つあって、「炎症」というのは炎の症状と書くと思うんですけども、悪くなったときは腸で炎が燃えているようなイメージですね。
まずそれを消す治療をします。これを「寛解導入」と言います。「寛解」というのは症状がよくなること。
次は、残念ながらこの火が点く原因がわからないので、また火が出てこないように予防していく「寛解維持」治療と言いますけども、その二つのフェーズがあります。
その寛解維持治療というのは火が燃えてこないように基本的には慢性疾患ですので、ずっと続けることになります。
ただ、薬をきっちり続けることで再燃のリスクも減りますし、患者さんに頑張ってもらうのは薬を飲むことだけです。あとの日常生活はほとんど制限はないので。

中澤:なるほど。症状がなくなって寛解すると、「なんか飲まなくていいかな?」って思っちゃいそうな感じありますけど。

松岡:そこが一番大事なんです。

中澤:先生が病状の変化を観察するときですけれども、やっぱり内視鏡なんでしょうか?

松岡:そうですね。この病気はやはり腸の病気なので内視鏡というのは切っても切り離せないものがあります。
診断にも内視鏡が必要ですし、やはりある程度定期的には内視鏡をやらなければいけないと思います。
特にさっき申し上げた通り、今の世界的な治療目標というのが内視鏡で見ても普通の健康な腸になるまで治療するということなので、内視鏡は大事です。
とは言っても、大変な検査であることは間違いなくて、丸一日かかりますし、大腸の検査なので、やった方は分かるかもしれないですけど、大量の下剤を飲むんですね。
その後検査なので、やはり大変です。
最近はいくつか内視鏡の代わりに腸の炎症を調べる検査も出てきています。
一つは「便中カルプロテクチン」という検査が去年から使えるようになりました。

参考:便中カルプロテクチン(PDF)

杉山:「便中カルプロテクチン」?

松岡:非常に言い辛いですね。
カルプロテクチンと言うんですけども、これは白血球が出す蛋白です。
白血球というのは炎症が起こった場所に来ます。そこで、炎症が起こるとこのカルプロテクチンというのを腸の中に分泌するんですね。
そうすると便の中にそれが出てきますので、それを測ることによって今腸の炎症がどれくらいあるかというのが分かります。
非常に感度のいい検査で、この検査で炎症がないと言えるくらい低い値だったら、内視鏡で見てもやはり炎症がないことがあるので、本当に落ち着いている方はこの検査をすることで、内視鏡の頻度を減らすことはできると思います。やらなくてもいいわけではないですけど、かなり頻度を減らすこともできますし、負担も減らすことができます。検便するだけですので。
あとはですね、クローン病の患者さんは小腸にも病変が出るんですけども、小腸って非常に検査しづらい場所なんです。

中澤:ど真ん中ですもんね。上からも下からも。

松岡:小腸内視鏡っていうのもありますけれども、普通の大腸内視鏡よりもさらに奥に入らなければならないので大変ですね。
ただここもだいぶ検査法が進んできてまして、CTとかMRIを使って小腸を見るっていうのもできるようになってきています。
ただこれはまだ限られた施設でしかできないんですけども、もう欧米なんかではスタンダードな検査になってきていて、これだと内視鏡をしなくても小腸の状態が分かります。
あとはカプセル内視鏡と言って、飲む内視鏡も今はあるので、それで小腸を調べることもできます。
ただクローン病の方は腸が細くなってしまう「狭窄」というのを起こすので、そうすると詰まっちゃうことがありますから、それは注意しなければいけないんですけども。
ということで内視鏡以外もいろんな患者さんにとって負担の少ない検査も進んできてますので、それぞれの患者さんに合わせて今は使えるようになってきてます。

中澤:ありがたいですね。


中澤:ここまで炎症性腸疾患の症状、そして治療法について詳しく伺ってきました。
後半はその原因や発生メカニズムの研究がどのくらい進んでいるのか伺ってまいります。

次回へつづく

炎症性腸疾患について~原因・発生メカニズムの研究~炎症性腸疾患の原因・発生メカニズムの研究について|腸から始まる健康ライフ(快腸!夏SP)

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