【お知らせ】関連リンク集を更新しました(2019.11.04)

潰瘍性大腸炎治療薬「シンポニー」の詳細と選択した理由

潰瘍性大腸炎 シンポニー

こんにちわ。

先日、新しい治療として「シンポニー」を使い始めたので、調べたことおよび選択した理由をまとめす。

これから導入を検討している方は参考にしてみてください。

「シンポニー」とは?

まずは、「シンポニー」(一般名:ゴリムマブ)の情報について紹介します。

「シンポニー」は生物学的製剤の一つで、現在は関節リウマチと潰瘍性大腸炎の2つが適応症となっています。

生物学的製剤とは

生物学的製剤とは、生物から産生されるタンパク質などの物質を応用して作られた薬。これに対し、一般的な医薬品は、化学的に合成した物質をもとに作られる。

「シンポニー」は、TNFα(ティー・エヌ・エフ・アルファ)という物質の働きを抑える薬(抗TNFα抗体製剤)です。
このような体内で悪影響をあたえる特定の物質(標的分子)のはたらきだけを抑える薬は、分子標的薬と呼ばれたりもします。

TNFαとは

TNFαは免疫にかかわっている物質の一つで、普段は細菌や異物から体を守る大切な役割を持っていますが、過剰になるとからだの細胞や臓器に作用して、炎症を引き起こしたり悪化させたりする原因にもなります。

潰瘍性大腸炎ではシンポニーを含め、現在3つの 抗TNFα抗体製剤 の選択肢がありますが、詳しくは後ほど。

潰瘍性大腸炎治療におけるシンポニーの位置づけ

シンポニーなどの生物学的製剤による治療の対象となるのは、今までの治療(5-アミノサリチル酸製剤、ステロイド、アザチオプリン等)で効果が十分に得られなかった中等症から重症の潰瘍性大腸炎の患者さんとなります。

潰瘍性大腸炎における各種治療薬・治療法の位置づけ
潰瘍性大腸炎の皆さんへ 知っておきたい治療に必要な基礎知識(第3版)より

具体的には、 ステロイド抵抗例 (ステロイドが効かない)やステロイド依存例(ステイロドを減らすと再燃してしまう)といった、いわゆる難治性の患者さんの寛解導入療法と寛解維持療法の両方に用いられます。

寛解導入と寛解維持

寛解導入療法 :活動期の炎症を抑えて落ち着かせ寛解に持ち込む治療
寛解維持療法:寛解を長期にわたって維持し再燃を防ぐ治療

潰瘍性大腸炎治療指針(内科)

投与方法・スケジュール

4週間に1回の間隔で、皮下注射します。

通常は初回のみ200mg、2週間後に100mg、以降4週間隔で100mgとなります。

回数投与間隔(前回投与から)投与量
初回200mg
2回目2週間100mg
3回目以降4週間100mg

シンポニーの注射器には、1本につき50mg(0.5mL)が充填されています。

よって、初回は4本、2回目以降は2本を注射することになります。

シンポニーの注射は皮下注射になります。

皮下注射とは、皮膚と筋肉の間にある皮下組織に注射しますタイプのものです。
一般には吸収がゆっくりで、効果が長く続ことが特徴です。

皮下注射
中外製薬より

注射箇所は二の腕(上腕部)、おなか、太ももなどです。

注射器は、オートインジェクター(薬液が自動で注入されるタイプ)とプレフィルドシリンジ(薬液を手動で注入するタイプ)があります。

シンポニー 注射タイプ

参考に、以下に注射の様子が動画で掲載されているリンクを貼っておきます。
ちなみに、リンク先には「自己注射」と書いてありますが、在宅での自己注射は現在関節リウマチのみ認められており、潰瘍性大腸炎の場合は保険適用されないため、通院して医療従事者に注射してもらうことになります。(2020年2月現在)

参考 シリンジでの注射(動画あり)シンポニー.jp 参考 オートインジェクターでの注射(動画あり)シンポニー.jp

参考までに、わたしはオートインジェクターで投薬を受けましたが痛みはほとんど感じませんでした。

シンポニーの副作用

シンポニーの治療により、あらわれる可能性がある副作用を紹介します。

よくみられる副作用

注射部位反応

注射部位に紅斑(こうはん)、かゆみ、じんましんなどの注射部位反応がみられることがあります。

感染症

上気道感染や鼻咽頭炎など、風邪のような症状がみられることがあります。

発現する可能性のある重要な副作用

重篤な感染症

TNFαのはたらきが抑えられることで免疫力(体を病原体などから守る力)が低下して、感染症にかかりやすくなる可能性があります。
副作用の多くは鼻咽頭炎(風邪の一種)、上気道感染、気管支炎などの軽度なものですが、敗血症、肺炎、結核などの重篤な感染症や、真菌などの日和見感染症にかかりやすくなる可能性があります。

脱髄疾患(だつずいしっかん)

神経を覆っている膜(髄鞘(ずいしょう))が破壊される病気(脱髄疾患)が起こることがあります。代表的な疾患に多発性硬化症があります。脱髄疾患にかかっている方または既往のある方、あるいはご家族に脱髄疾患と診断されたことのある方がいる場合は、必ず医師に伝えてください。

間質性肺炎

発熱、咳、息苦しいなどの症状がみられることがあります。

血液障害

血液中の白血球、好中球、血小板などが減少することがあります。

うっ血性心不全

うっ血性心不全があらわれる、または症状を悪化させることがあります。

B型肝炎の再燃

B型肝炎ウイルスキャリアおよび既往感染の患者さんでは、B型肝炎が再燃することがあります。

自己免疫疾患

異常な自己免疫反応により自己抗体があらわれ、関節痛・筋肉痛・皮疹などの症状があらわれることがあります。

悪性腫瘍

シンポニーとの因果関係は不明ですが、投与を受けた患者さんでは悪性腫瘍・悪性リンパ腫が生じるリスクが高くなる可能性があります。

アレルギー反応

呼吸困難、血圧低下、じんましん、吐き気などを生じるアナフィラキシーショックを含む重篤なアレルギー反応が起こることがあります。

ラテックスアレルギー

シンポニーの注射器の注射針カバーの素材には乾燥天然ゴム(ラテックス類縁物質)が含まれているため、ラテックスに過敏な場合、まれにかゆみ、発赤、じんましん、むくみ、発熱、呼吸困難、喘息様症状、血圧低下、ショックなどのアレルギー症状を起こすことがあります。


わたしの場合、アレルギーのチェックのため初回投与時は30分程度時間をあけて、穿刺部の確認がありました。

また、副作用の発現についてはアレルギー反応のように早期にあらわれるものから、時間が経過したのちにあらわれるものまでその発現時期は一様ではないと説明を受けました。

医療費について

シンポニーの薬価は注射1本(50mg)で約12万円と大変高価な医薬品です。

通常100mg投与の場合は、24万円となり、通常3割負担でも7.2万円です。

潰瘍性大腸炎の場合は指定難病となっているため、医療費助成制度の対象となり、難病に関わる治療については自己負担が2割、かつ収入に応じた自己負担限度額が設定されています。

また、4週間ごと、つまりほぼ毎月の投与となるため「高額かつ長期」に該当するはずです。

医療費助成における自己負担限度額

ちなみに基本的にシンポニーは中等症以上の患者さんが対象のため、潰瘍性大腸炎の医療費助成認定の重症度分類の基準(中等症以上)を満足している場合が多いと思いますが、仮に重症度分類の基準を満足していないと判定された場合でも、「軽症高額該当」の基準を確実に満たすはずですので、忘れず申請を行いましょう。

軽症高額該当

症状の程度が疾病ごとの重症度分類等に該当しない軽症者でも、高額な医療を継続することが必要な人は、医療費助成の対象となります。

「高額な医療を継続することが必要」とは、医療費総額が33,330円を超える月が支給認定申請月以前の12月以内に3回以上ある場合をいいます。

「シンポニー」を選択した理由

最後に今回シンポニーを選択した理由を記します。

病歴

まず私の病歴ですが、現在発症6年目です。

発症時は劇症・全大腸炎型で、手術も視野に入れる状態でしたがなんとか回避しました。
入院は発症時含め2回、いづれもタクロリムスで寛解導入しています。

治療歴は、5-ASA経口・局所(注腸)、ステロイド経口・局所(注腸)、免疫調整剤(イムラン)、血球除去療法、免疫抑制剤(タクロリムス)と、下のトライアングルのおおよそを経験しています。

寛解維持療法は、5-ASA経口・局所(注腸)と免疫調整剤(イムラン)を基本としています。
調子が悪ければステロイド局所(注腸)を併用して下り坂を転がり落ちるのを未然防止という感じでやってきましたが…

という状態です。

話をシンポニーの選択の理由に戻します。

今回シンポニーを新たな治療方法として選択するにあたり、以下の3つの選択がありました。

①「治療強化」するのかどうかの選択
②「抗TNFα抗体製剤」 の選択
③「シンポニー」の選択

順を追って説明します。

「治療強化」の選択

1つ目はそもそも治療を強化するのかどうか?という選択です。

以前から治療強化の検討の話はありましたが、調子が悪ければステロイド注腸で盛り返せるし、そもそも調子を崩すのも感冒や急性胃腸炎などの偶発的なことがきっかけの場合が多いこともあり、

「定常状態が続けば問題ないし・・・5-ASA注腸も、もっと真面目にやるし・・・最悪入院してもワイにはタクロリムス様がいるし」

といった感じで治療強化には消極的でした。

「副作用も起こり得るし、感染症にもさらに気をつけなきゃならんし、1回始めたら止められないし・・・」

といった逃避願望と、手持ちの大きな、ともすれば最後の選択肢をひとつ使ってしまうという危機感にも似た感情があったと思います。

では、何がきっかけで決断したかというと主治医から以下の話をされたことです。

  • 臨床的に寛解(下痢や下血、腹痛などの臨床症状が落ち着く)しても、あくまで治療目標は粘膜治癒(内視鏡検査での観察で粘膜の炎症が完全に治まっている状態)
  • ここ2年間の経過はずっと粘膜治癒していない
  • 炎症の継続はガン化のリスクがある

もちろん、臨床的寛解と粘膜治癒の話は知っていたし、ガン化のリスクもあたまの片隅にはありましたが見て見ぬ振りをしていました。

今回、結局「(内視鏡的に)寛解していない」と明確にされたことと、「がん」というワードを改めて耳にしたことで、治療強化の決心に至りました。

潰瘍性大腸炎の累積大腸癌発生率
知っトクカフェ 潰瘍性大腸炎 より

「抗TNFα抗体製剤」 の選択

さて、2つ目の選択は新しい薬を使うとして、どの薬を選ぶかです。

下表は、2010年以降に新たに承認された潰瘍性大腸炎治療薬です。

2010年以降に承認された潰瘍性大腸炎治療薬
AnswersNewsより

すごい勢いで新薬が登場していますね。

具体的な製品を選ぶ前にまずどの作用機序(薬が生体に何らかの効果を及ぼす仕組み、メカニズム)の薬を選択するかが問題になりますが、今回の治療強化に対しては具体的には下記の3つが選択肢になります。

  • 抗TNFα抗体製剤
  • JAK阻害剤
  • 抗α4β7インテグリン抗体製剤

こちらの選択はすんなりと、抗TNFα抗体製剤に決定しました。

理由は、選択肢のうち最も実績があるためです。

ただ、抗TNFα抗体製剤が必ずしも効果があるとは限らないので、他の選択肢も勉強しておいて損はありません。

出典:医学出版

「シンポニー」 の選択

最後の選択は、抗TNF-α抗体製剤のうち、どの製品(薬)を使うかです。

冒頭に記しましたが、現在、潰瘍性大腸炎では3つの抗TNF-α抗体製剤の選択肢があります。

  • レミケード(インフリキシマブ)
  • ヒュミラ(アダリムマブ)
  • シンポニー(ゴリムマブ)

3つの違いを簡単に表にまとめました。

潰瘍性大腸炎 生物学的製剤

※3割負担の場合。レミケードは体重60kg として計算。

わたしがシンポニーを選択したポイントは、主に①二次無効(治療経過中に効果が減弱すること)のリスクと、②投与方法が許容できるかどうかです。

なお、作用機序が同じなので、上述した副作用はどの薬剤でもリスクがあります。

①二次無効のリスク

まず、シンポニーは3剤のうち、最も二次無効のリスクが小さい点を重視し、第一候補としました。

説明は下記がわかりやすいです。

シンポニーとレミケード、ヒュミラとの違いは シンポニーは生体の自然な免疫反応を利用した「トランスジェニック法」という方法で製造された完全ヒト型TNFα抗体です。レミケードは一部にマウス由来のタンパクを持つキメラ型TNFα抗体です。ヒュミラはマウス由来のタンパクを含まないヒト型TNFα抗体ですが、完全ではありません。抗体製剤を使用すると多くの患者さんは効果が長続きしますが、一部の患者さんに 最初は良く効きますがだんだん効果がなくなる現象がみられます。これを2次無効といいますが、この現象には抗薬物抗体(生物学的製剤を異物として認識され産生される 抗TNFα抗体などの生物学的製剤に対する抗体)が深く関与しています。このような抗体の差(完全ヒト型か、ヒト型かキメラ型か)によりシンポニーは他の製剤に比べて抗薬物抗体ができにくく、その結果2次無効の発症が低くなる可能性が考えられます。

石田消化器 IBDクリニック

②投与方法

次に、投与方法が許容できるかどうかです。

投与方法については、現状、在宅自己注射できるヒュミラが最も優れていると思います。

問題はシンポニーの投薬スケジュールがわたし個人の生活において許容できるかどうかです。

わたしが治療を受けている病院では、シンポニーの投与は、通院時間および事前の血液検査・診察・薬剤投与も含め、平日でも半日の休みを取れば可能であり、月1回の通院も問題がないので、投与方法は許容できると判断しました。

なおレミケードの場合は、わたしの通院先では午前中に来院して帰宅は午後となり、半日休みでは対応が難しくなります。

本当にこのあたりは個人の生活環境によると思います。


即効性についてはレミケードが他の2剤と比較して相対的に早く・はっきりと効果があらわれるという説明を受けました。そのポイントを選択の判断基準として重視することもありだと思います。

以上が治療強化の決断とシンポニーを選択した理由になります。

納得して選択することが重要

最後に今回、治療強化として生物学的製剤を導入するにあたり、情報収集したなかで、CCJAPANの記事の一文を紹介します。

「今後は、患者が3つの製剤の特徴をしっかり把握し、主治医と相談しながら選択する時代になるだろう(兵庫医大・樋田先生)」

CCJAPAN vol.108 「第26回日本消化器関連学会週間ブレックファーストセミナー31 生物学的製剤時代の潰瘍性大腸炎実地治療」(p.25) より

まさに選択肢があるからこそ、情報をしっかりと収集して患者自身が納得して治療方法を選択することが大切になると思います。

おわり。

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