2022年1月27日に厚生省より「令和2年度衛生行政報告例」が発表されました。
統計より最新の潰瘍性大腸炎の患者数データを紹介します。
なお、今回発表された数字は、2021年3月末(2020年度末)時点の集計値です。
潰瘍性大腸炎患者数
2020年度(令和2年度)データ
特定医療費(指定難病)受給者証の所持者数について、今回発表のデータと前年(令和元年度)からの推移を下に示します。
また、参考にクローン病の数字も一緒に載せています。
潰瘍性大腸炎 | クローン病 | |
---|---|---|
2020年度 | 140,574 | 47,633 |
2019年度からの増減 | +13,971 | +3,388 |
潰瘍性大腸炎は前年からプラス11.0%、クローン病は前年からプラス7.7%と、ともに増加しました。
潰瘍性大腸炎の患者数の推移
過去からの推移は、下のグラフのとおりです。
2017年度は、2015年1月施行の難病法の3年間の経過期間が終了し、軽症者が助成対象から外れたため、大幅に減少しました(約4万人減)。翌2018年度も若干の減少となっています(前年比約3%減)が、2019年度より増加に転じ、2020年度も引き続き増加傾向となっています。
また、新型コロナウイルスの影響で、2020年(令和2年)の受給者証を所持している人については、2021年(令和3年)の受給者証は自動的に継続更新されたため(※注)、軽症等で認定除外になった人がいなかったため、前年からの増加数が多かった理由だと考えられます。
※注:2020年3月1日から2021年2月28日までの間に有効期間が満了する場合、有効期限が1年間延長される。
受給者証交付数最多疾患は「パーキンソン病」、「潰瘍性大腸炎」は2番目に多い
これまで一貫して指定難病のうち最多の患者数であった潰瘍性大腸炎ですが、2018年度にパーキンソン病が初めて最多となりました。2019年、2020年も同じく、パーキンソン病が最多で、潰瘍性大腸炎は2番目に受給者証交付数が多い疾病となっています。
次のグラフは、患者数が多い上位5疾患までの、患者数および指定難病全体の患者数に占める累計の割合を示したものです。
上位5疾病の顔ぶれと順位は前年2019年度のものと変わっていません。
潰瘍性大腸炎の患者数が指定難病のなかでも特に多いことは有名ですが、実はクローン病も指定難病全338疾患のなかでかなり患者数が多い部類に入ります。
潰瘍性大腸炎とクローン病をあわせた炎症性腸疾患(IBD)の患者数の割合、指定難病全体の約18%を占めます(※指定難病患者全体はおよそ103.3万人)。
コロナ禍が続く状況ですが、これからも潰瘍性大腸炎・クローン病を含めた希少疾患を抱える患者に対する医療費助成が継続され、患者が継続して十分な治療を受けられ安心して生活を送られる社会であることを期待します。