【更新】令和3年度医療費助成申請 都道府県リンク(2021.06.08)

【難病に関する制度解説-第5回-】 特定医療に係る費用について(特定医療費と自己負担限度額)

こんにちは。

前回は特定医療費の支給認定申請について解説しました。今日は、自己負担限度額についてです。病気になると何かとお金がかかりますね。医療費助成制度をよく理解して利用しましょう。

 

医療費助成制度の概要

支給対象者

こちらについては、別記事で解説しています。この記事では支給認定されたことを前提に説明します。

自己負担割合の軽減

医療費の患者負担割合が3割の人に対しては、その割合が2割へと軽減されます。

それ以外(もともと2割や1割)の人については、それぞれの制度の負担割合が適用されます(負担割合は変更なし)。

医療費の自己負担割合

 

自己負担限度額の設定

自己負担限度額は難病法第5条で、

  1. 支給認定を受けた指定難病の患者又はその保護者の家計の負担能力
  2. 支給認定を受けた指定難病の患者の治療状況
  3. 支給認定を受けた指定難病の患者又はその保護者と同一の世帯に属する他の支給認定を受けた指定難病の患者及び小児慢性特定疾病児童等の数
  4. その他の事情

をしん酌して政令で定める額とされています。

その政令難病の患者に対する医療等に関する法律施行令(平成26年11月12日 政令第358号)によれば、月額自己負担限度額は0円~3万円の7階層が設定されています。

※原文は長いので載せません

1. 家計の負担能力とは、つまり収入、具体的には、指定特定医療のあった月の属する年度分の市町村民税額に基づいて階層区分が決まります。

2.治療状況について

  • 高額難病治療継続者の場合は、同じ収入階層区分の場合と比較して月額自己負担上限額が減額されます。
  • 指定難病の患者が、人工呼吸器その他の生命の維持に欠くことができない装置を装着している場合は月額自己負担限度額が1000円となります。

まとめると、下記の表となります。

 

3. 同一世帯に複数の指定難病患者(または小児慢性特定疾患患者)がいる場合は、月額自己負担限度額は複数の世帯内の患者で分けることになります(按分する)。

計算方法は次の通りです。

各患者の負担上限月額= 患者本人の負担上限月額 ×(世帯で最も高い者の負担上限月額世帯における負担上限月額の総額

例:Aさん、Bさんは同一収入家計の家族だとします。どちらも指定難病患者です。収入に基づく月額自己負担上限額は2万円で、Bさんは高額難病治療継続者とします。

患者本人の自己負担限度額は、

Aさん:20,000円
Bさん:10,000円

です。実際の各患者の自己負担限度額(按分額)は、上の計算式より

Aさん:13,330円
Bさん:6,770円
世帯合計:20,000円

となります。実際の世帯合計の負担上限額は、世帯で最も高い者の(もともとの)負担上限額と等しくなります。図にすると下記の通りです。

 

特定医療費

特定医療費という言葉の意味を正しく捉えていますか?

指定難病の治療に要した費用 = 特定医療費ではありません。もともと僕はこの意味で捉えていました。

支給認定者に対して、【国+都道府県】から助成される医療費が特定医療費です。前者はあえていうと、指定特定医療に要した費用です。

言葉の定義をあらためて紹介します。(難病法第5条参照)

特定医療:支給認定を受けた指定難病の患者に対し、指定医療機関が行う医療であって、厚生労働省令で定めるもの

指定医療機関:(特定医療が受けられる)都道府県知事が指定する医療機関

指定特定医療特定医療のうち、指定医療機関から受けるものであって、支給認定された指定難病に係るもの

では、具体的に指定特定医療に要した費用の総額(月額)10万円であった場合を例に説明します(下図)。

(クリックで拡大)

この医療費10万円の負担割合ですが、通常の自己負担3割の場合、患者が3万円、患者が加入する健康保険組合が7万円となります。

そして、指定特定医療の場合は自己負担割合が2割になるため、1割の1万円が患者に都道府県から助成されます。3万円-1万円で患者の実質自己負担は2万円ですね。※これが上図の②の場合です。

そして特定医療費とは、都道府県から助成される1万円を指します

ちなみに、通常②のフローは支給認定されたあと、手元に受給者証が届くまでの場合となります。この場合、特定医療費を受給するには患者が「特定医療費(指定難病)請求書」を添えて都道府県に対して償還払い請求を行わなければなりません。

毎回診察のたびに償還払い請求をするのは面倒ですね。ということで、受給者証が届いたあとは、①のフローを採ります。

こちらは難病法の第7条第7項および第8項に、それでOKだと規定されているんです。

7 支給認定を受けた指定難病の患者が第三項の規定により定められた指定医療機関から指定特定医療を受けたとき(当該支給認定患者等が当該指定医療機関に医療受給者証を提示したときに限る。)は、都道府県は、当該支給認定患者等が当該指定医療機関に支払うべき当該指定特定医療に要した費用について、特定医療費として当該支給認定患者等に支給すべき額の限度において、当該支給認定患者等に代わり、当該指定医療機関に支払うことができる。
8 前項の規定による支払があったときは、当該支給認定患者等に対し、特定医療費の支給があったものとみなす。

条文によると、医療受給者証を提示した場合に限るとされていますので、検診の際には忘れずに持参してください。

 

ということで、①のフローだと”受給”はしていないようにに感じますが、実はきちんと都道府県より医療費を受給しています。

特定医療費を受給できる証なのでその正式な名称は、「特定医療費(指定難病)受給者証」なんです。なお、特定医療費の負担割合は、都道府県と国で折半です。

 

自己負担限度額を超えた場合

指定特定医療に要した費用の総額の2割が、自己負担限度額を超えない限り、医療費の負担割合は、

患者:都道府県:健保組合 = 2 : 1 : 7

となります。

指定特定医療に要した費用の総額の2割が、自己負担限度額を超えた場合は、

{患者(自己負担限度額まで)+都道府県}:健保組合 = 3 : 7

となります。

イメージは下図のようになります。

 


霞ヶ関文学と言うのでしょうか。法律の条文は読んでいて嫌になりますが元のルールを当たるのが一番かなと思って睨めっこしています。

 

P.S.

この記事を書いていて、医療受給者証なくしたらアレかなぁ・・・と思い、専用のケース的なものを買いました。これまでは、病院の封筒に入れてなんとなくやり過ごして来ましたが、これからは会計窓口前でスマートな所作でいきたいと思います(`・ω・´)

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